「イラク総合病院」・・・・・向野元昭


 1979年11月にイラクのSOB (State Organization of Building) から、丸紅〜大成建設が、総合病院を5つまとめて受注した。SOBの原案に対して代案を出してそれが認められての契約であった。5病院というのは、北からエルビル、ティクリット、カドミア、ナジャフ、ナシリアの5都市に建つものである。建物概要は、地下1階、地上7階、塔屋2階、延べ面積25,083F、軒高37.15mで、400ベッドの病棟と診療棟をもつ総合病院である。5つとも全く同じ平面で、敷地はそれに合わせて決められたが、場所により建物の方位と地盤により基礎形状は異なった。また空調は場所と方位が変わるので、5つとも少しずつ違った。
 代案による受注で、基本設計だけの契約であったため、設計承認業務が必要となりSOBと折衝した。私は、設計陣の一員として、空調換気、給排水設備を担当した。先方は設計施工という概念がなく、コントラクターが設計するとは考えられない様子だった。意匠、構造、設備と分科会に分かれて図面と仕様書を詳細に検討し、合意するとページ毎にお互いにサインしていく。コストアップの要求に対しては、何しろ5倍で利いてくるのでこちらも、大変神経を使って対応した。契約の時期、条件などの大切さを痛感した。
 工事は、その後始まったイラン・イラク戦争で難航しつつも、1982年完成した。また、同じ設計で、更に8つの病院が建設された。
 現在のイラクが早く平和を取り戻し、再訪できることを願っている。

エルビルサイトの外観

手術室

サマラのミナレット