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「趣味は何ですか?」と聞かれると、これと言って自慢できるモノもないので「囲碁です」と答えてしまいます。すると決まって「腕前は?」とタタミかけられますので「アマチュアの2〜3段くらいでしょうか」と云うのですが、同時に(あ〜ぁ、もう少し強くなっておけば良かったのにな〜)というオモイが頭をよぎります。
■覚えたのは早かった
囲碁を覚えたのは小学生の頃でした。弱い級位者の父親の手ほどきでした。その頃、近所の遊び仲間の中に遠い親戚に当たる、1級上と、3歳位年下の兄弟がいて、夜になるとよく囲碁かマージャンをして遊んだモノでした。兄の方と私は一応優等生で(といっても小学生時代ですが)弟はというと、勉強は全然ダメで、お母さんが心配されていたほどでした。ところが囲碁やマージャンになると兄も私もこの弟に全く歯が立ちません。「なぜ、こいつに負けるんだ」と考えても解らず、連敗では腹も立つしで、とうとう囲碁もマージャンもある時期にやめてしまいました。
■突然の侵入者(伝道者?)
再び囲碁を始めたのは20歳を過ぎてからでした。その頃私が住んでいた下宿の隣の部屋に新しく引っ越してきた学生A君に「小藤さん、碁をうちますか」と訊ねられた。「ルールは知っているが弱い」と答えたのですが「とにかくやりましょう」ということで石を握った。彼は初段くらいということなので、たくさん置き石をしたのだが全くかなわない。翌日から毎日夜になるときまって、盤石を抱えたA君がドアを開け「さあ、始めましょう」とくる。コテンコテンにやられいささか悔しいので「定石本」と「置碁対策」の2冊を買い熟読しました。5月頃から毎晩のように(時には未明まで)打ち、勝敗をノートに記録し、参考書を読み、また打つ、の繰り返し。秋にはとうとうA君とタイで打てるようになりました。ゆうに1000局は超えていたと思いますがA君の侵入がなければ、人生から<囲碁>の文字は消えていたと思います。以後、図に乗った私は、小学生時代の悪しき記憶も忘れ「ひょっとしたら碁才があるのかな」などとうぬぼれ、<他流試合>などと気取って碁会所にも通うようになりました。
■アマとプロ
そんな頃、下宿が改装工事になり、煩わしいので近所の友人B君の下宿に入り浸り、半ば<転がり込み>状態になりました。家主とその老母、それにB君の3人だけが住むミニ旅館のような広いお宅で、老婦人から「どの部屋でもいいから泊まって下さい」とのお許しを得、おまけにB君は囲碁3段くらいで、もってこいの師匠、囲碁三昧のひとときでした。実は直後に初めて知ったのですが、家主は日本棋院の高段者だったのです。通いの弟子も20歳くらいの女性と少年の2人がいました。先生は忙しくめったに顔を合わせることはありませんでしたが、近所の大学の囲碁部の指導などもされているらしく、お宅で研修会なども頻繁に開かれていました。襖の陰から聞いていたのですけれども先生の講評は親切で、とてもやさしい方だなあと感じたものでした。
しかしある時、弟子の二人の打ち碁を指導されているのを立ち聞きしてしまったのです。言葉遣いは丁寧なのですが、内容は厳しいようで、二人とも涙ポロポロの様子。あわてて立ち去った記憶があります。その後も、目を腫らして帰宅する女性を何回かみかけ「プロとアマの世界は全く違うんだ」と痛感した記憶があります。でも先生は本当に優しく、B君が卒業する際、私との打ち碁を見ていただき「二人ともナカナカだね」とだけおっしゃって、B君には「日本棋院3段」の免状を、ついでに私にも初段の免状を頂きました。
■胸を張って趣味と言うためには強くなることが必須?
社会人になってからは、殆ど碁を打つ機会がなく、40代のころ会社の<囲碁部>で数年プロの指導を月1回受け少し上達しましたが、その後、棋力は伸びません。ただスポーツなどと違い、打たなくてもあまり腕は落ちないのが碁のいいところです。
昨年、現役を離れ、やはり<堂々と胸を張って言える趣味>を持ちたいと考えるようになりました。それには囲碁が、もう少し強くなる以外ないと思い、上達手段をアレコレ考えてみました。しかし安易に腕を上げる方法などなく、結局のところ強い人と、集中して、たくさん打つしかないというのが真実なのだろうと思います。
そこでまず、腕を上げる前に、とりあえず高い目標を立てることにしました。
4段、5段といっても、囲碁人口全体の中での自分のポジションがよくは分からないので、<アマチュア日本一>をきめる<アマ本因坊戦>などの東京都予選で<ベスト16>を目指すということにしました。このことを学生時代、囲碁部に在籍していたという友人に話したら、「ば〜か、東京都の予選は、2ヶ所で行われ、各々512名だったか1024名だったか、ほとんどお前より強い者ばかりの大会だ。それにアマで鳴らした招待選手だけでも30名くらいいる。まあ、3回戦ぐらいまで行きたかったら、山梨県にでも引っ越すんだな」と一蹴された。(山梨の方、友人の暴言すみません)・・・そんなことで「目標設定」も目下頓挫し、とりあえず暇を見つけセッセと≪ネット碁≫に励んでいます。
ということで、少々情けないのですが、「趣味は囲碁です」と、胸を張っていえるのはもう少し先の話になりそうです。
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