■「退職後NPO」
■編者/米田雅子
■出版社/東洋経済新報社
■B5版・230頁=1,600円+税

 豊富なキャリアを持った人々がどんどんリタイアしている。60歳で定年になった会社人間が職を離れた後の寂寥感は、誰しもが通る道であっても耐えがたいものがある。
 退職者は孤独である。しかし、活躍の場を与えられれば猛然と培った力を発揮する。
 本書は声がかかるのを待つのではなく、NPOで自ら活動の場を積極的に作り出そうとする人々にとって具体的な指針となるであろう。
 まず、はじめにNPOはボランティアではないと、真のNPOのポジションを明確に示し、続いて外国の事例を含め様々なNPOの姿を紹介している。
 中間ではサーツの事例を基に具体的な活動を紹介し、我々の身近な会員の方々の大活躍ぶりが活写されている。此処でなるほどと納得して自分にも出来そうなNPOの活動が理解できるようになっている。
 また、インターネットを活用した新しい活動の広がりを提案し、巻末にはサーツの事例により詳しく具体的な申請書類一式が提示されて、これを参考にして書類作成が出来るようになっている。
 そして、この本のユニークな点は、いろいろなNPOの事例を6名の夫々の代表の方から「先輩からひと言」と題して設立の経緯や様々な形と活動を語っていただいていることで、多岐にわたるNPOの姿を具体的にイメージ出来るようにしていることである。
 この本は米田雅子常務理事がサーツ運営3年の実績の上に書かれた実務書であり、退職後の方々が元気になる啓蒙の書である。(阿部市郎)