■ (新版)コンクリート工事のチェックポイント100
■著者/加賀秀治(正会員)
■出版社/学芸出版社
■B6版・221頁= 2,400円+税

 建築現場技術者必携の書物である。コンクリートを生コン製造会社から購入するのが当り前となって久しく、建設会社現場マンのコンクリートに関する知識が残念ながら貧弱となっている。良質のコンクリートを、美しく、かつ、耐久性に優れた状態に仕上げるためには、コンクリート購入者である現場技術者がコンクリート工事に関する正しい知識を持ち、事に当っての適切な判断力を備えることが重要である。本書は、欠陥の無い建物が建設されることを願い、現場技術者の知識向上を期待して書かれたものである。図表をふんだんに使い、読み易く分り易いと同時に、ハンドブックとしても活用出来るように、100項目の要点について2ページ毎に完結する構成になっている。
 著者は、先頃まで東京工芸大学の教授であったが、10年前までは大手建設会社の技術研究所に勤務していた関係で、豊富な知識のみならず実務面でも現実を熟知しており、現場技術者にとって何が必要かの勘所を的確に捉えている。
 内容は、材料に関する基本事項と生コン購入方法から始まり、施工に関しては工事計画から実際の施工の要点や品質管理方法まで、また、鉄筋工事・型枠工事など関連工事について、さらには、欠陥が生じた場合の対処の方法など実に幅広い領域をカバーしている。日本建築学会の鉄筋コンクリート工事標準仕様書JASS5に準じて記述したとされるが、JASS5が漏れの無いことを目指しているため分厚く、肝心な点を読み取るには苦労が要るが、要点を簡潔にまとめた本書は実用書としてずっと使いやすく、内容的にも通常の範囲では充分である。
 現場技術者には、まずざっと通読し、その後現場事務所の机上に置いておき、必要に応じて参考にする使い方をお勧めする。コンクリート工事がスムーズに進行し、建物の出来映えが向上すること請け合いである。
 なお、初版は平成元年であるが、この度JASS5の改正、SI単位への移行に合わせ改訂版として出版されたもの(最上 達雄)。